PLA樹脂とは？

最終更新日時: 2024/04/10 16:30

PLA樹脂（ポリ乳酸）は、再生可能な植物資源（例えば、トウモロコシやサトウキビ）から得られるデンプンを原料として製造されるバイオプラスチックの一種で す。環境に優しい素材として注目されており、化石燃料を基にした従来のプラス チックと比較して、生産過程での炭素排出量が少ないことが特徴です。PLAは完全に生物由来であり、適切な条件下では生分解性を持つため、環境負荷の低減に貢 献する素材として期待されています。

主な特性

• 生分解性: 工業的なコンポスト施設でのみ分解する条件付きで、自然環境 下では生分解されにくいが、最終的には水と二酸化炭素に戻る。
• 再生可能原料: 主にトウモロコシなどの植物から製造されるため、再生可 能で持続可能なリソースを使用。
• 良好な透明性: 高い透明度を持ち、見た目の美しい製品を製造できる。
• 加工性: 射出成形、押出成形、フィラメント形成など、様々な加工方法に 対応可能。

利用用途

PLA樹脂の利点を活かして、以下のような用途で広く使用されています。

• 包装材料: 食品包装や使い捨て容器、透明フィルムなど、一時的に使用さ れる商品の包装に適しています。
• 農業用フィルム: 土壌の温度を保持するためのマルチフィルムなど、農業 分野での利用が進んでいます。
• 3Dプリンティング: PLAは3Dプリンターのフィラメントとして人気があり、ホビー用途からプロトタイピングまで幅広く使用されています。
• 使い捨て食器: イベントやレストランでの使い捨てカトラリーや食器とし て、環境負荷の低減を目指した製品に利用されます。

環境への配慮と課題

PLA樹脂は生分解性を有する一方で、その分解には工業的なコンポスト設備と特定の条件（高温と湿度）が必要であり、自然環境下や家庭のコンポストでは分解し にくいという課題があります。そのため、使用後のPLA製品は適切な回収・処理システムを通じて環境への負担を最小限に抑える必要があります。

さらに、PLAの生産に使用される植物が食料資源と競合することや、大量生産に伴う環境への影響も懸念されています。これらの課題に対し、持続可能な農業方法 の採用や、非食用植物からのPLA生産技術の開発が進められています。

PLA樹脂はその環境配慮型の特性から、今後も多くの分野での使用が期待されていますが、その利用は適切なリサイクルや廃棄方法とともに考慮されるべきです。